前回までで、ローカルのSinatra+DataMapper+SQLite3の環境で、シャッフルツイート機能の実装が完了した。今回は、これを実際の運用サーバーであるHeroku上で動作させるためにコードを修正する。Herokuで使えるデフォルトのデータベースはPostgreSQLなので、ここでもPostgreSQLを使う。
PostgreSQL関連のgemを指定する
まず、前提として使ってるマシンにPosgreSQL自体が入ってないとダメっぽい。自分の環境では、PostgreSQLが入ってないと、DataMapperのPostgreSQL用アダプターをインストールする時にコケた。PostgreSQLのインストールはWin/Macそれぞれ以下のような感じで。
WindowsでPostgreSQLをXAMPPのPHPから使う HomebrewをインストールしてMacPortsをアンインストールする
Gemfile
Bundler用のGemfile
ファイルは以下のような感じになる。
source :rubygems
gem 'sinatra'
gem 'twitter'
gem 'dm-core'
gem 'dm-migrations'
gem 'dm-validations'
gem 'dm-validations-i18n'
gem 'dm-postgres-adapter'
でbundle install
して、Gemfile.lock
ファイルを生成する。
PostgresSQL用に修正
次に、app.rb
に記述していたDataMapper.setup
メソッドをtweet.rb
に移動し、なおかつHerokuのPostgreSQLでも使えるように修正する。
tweet.rb
app.rb
にあった以下の行を、
DataMapper.setup(:default, 'sqlite3:db.sqlite3')
tweet.rb
のコンストラクタに移動して、以下のように修正する。
class Tweet
def initialize
DataMapper.setup(:default, ENV['DATABASE_URL'] || 'sqlite3:db.sqlite3')
# (以下省略)
heroku create
コマンドを実行したときに、環境変数としてデータベースのURLが挿入されている1ので、そこを参照するように変えるだけ。環境変数が無ければ後者が使われるので、ローカル上では今まで通りSQLite3が使われる。
PostgreSQLとSQLite3の違いはO/RマッパーであるDataMapperが良しなにやってくれるので、コードに変更はない。
マイグレーション用Rakefile
前回までのローカルプレビュー時は、マイグレーションは直接migrate.rb
スクリプトを、
$ ruby migrate.rb
として実行していた。が、こういうやり方はHeroku上ではできない(ということをこの段階になって知った)ので、マイグレーションを実行出来るようにするためのRakefile
を作成する。実はこの情報を知るのに結構苦労して、理解するまでどうすれば良いのかわからずフラフラとネット上を彷徨っていた。最終的に理解できたのは、直接その処理を行なっているRubyコードを見ることが出来たから。
Lokkaの以下の部分のRubyコードを参考にさせてもらって、DataMapperでのマイグレーション用Rakefile
を作ることが出来た。
Rakefile at master from komagata's lokka - GitHub lib/lokka.rb at master from komagata's lokka - GitHub lib/lokka/entry.rb at master from komagata's lokka - GitHub
database.rb
というわけで、前回までmigrate.rb
として使用していたファイルを、まずdatabase.rb
にリネームする。そしてRakefile
から実行するのに適したクラスとメソッドに修正する。create
メソッドは、ちょっと悪いネーミングな気がするけど、とりあえずこれで。2
require 'rubygems'
require 'dm-core'
require 'dm-migrations'
require 'model.rb'
class Database
def connect
DataMapper.setup(:default, ENV['DATABASE_URL'] || 'sqlite3:db.sqlite3')
self
end
def migrate
DataMapper.auto_migrate!
self
end
def create
WORDS.each do |data|
post = Post.create(:title => data, :created_at => Time.now)
puts post.errors.map {|e| "--- #{e} :\n#{data}" } unless post.errors.empty?
end
self
end
WORDS = <<-EOF.split("\n")
私の最高傑作は次回作だ。
(中略)
"You?" "You can see now?" "Yes, I can see now."
EOF
end
Rakefile
でrake
コマンドで実行するマイグレーション用Rakefile
は以下のような感じになる。cron用タスクは元々あったもので、それに手動ツイートするbot:tweetタスク
と、マイグレーションと初期レコードの追加を行うdb:setタスク
を追加した。
require 'tweet.rb'
task :cron do
Tweet.new.tweet
end
desc 'Bot Tweet'
task 'bot:tweet' do
puts 'Bot Tweeting...'
Tweet.new.tweet
end
require 'database.rb'
desc 'Setup Database'
task 'db:set' do
puts 'Setup Database...'
Database.new.connect.migrate.create
end
database.rb
とRakefile
が修正できたら準備完了。
rakeコマンドの実行
まずローカルで、このRakefile
によるrake
コマンドが正常に動作するか確認する。既存のdb.sqlite3
ファイルがあれば、それをゴミ箱に捨ててから以下のコマンドを実行する。
$ rake db:set
これでdb.sqlite3
ファイルが生成されて、各レコードにデータが挿入されていれば成功。さらに、以下の手動ツイートのrake
コマンドを実行すると、実際にTwitterにツイートが投稿される。
$ rake bot:tweet
以上がローカルで確認できていればOK
デプロイ
作成・修正したファイルをコミットして、Herokuにプッシュする。
$ git add .
$ git commit -m 'lupin the third!'
$ git push heroku master
$ heroku open
この時点では、データベースのマイグレーションが行われていないので、サイトを開いてもInternal Server Errorが表示される。
Heroku上でrakeコマンドの実行
ローカルで試したrake
コマンドの頭にheroku
と付けるだけでOK
$ heroku rake db:set
$ heroku rake bot:tweet
これでちゃんとTwitterに投稿されれば、おそらくcronでも正しく投稿が行われるはず。果報は寝て待つ。また、
$ heroku open
でサイトを開くと、今度はローカルで表示したときと同じように、正常に一覧が表示される。 ちなみに、このアクセスするとシャッフルツイートが行われて残りの名言が一覧表示される動作は、あくまでも動作チェック用なので最終的には削除しておく。
ここまでのソースコード
ここまでのchaplin_botのソースコードをversion 2.0 としてタグを切ったので、GitHubからダウンロード可能。
ruedap/chaplin at 2.0 - GitHub
以上で、単なるリピートツイートだったHeroku上のTwitter Botに、無事シャッフルツイート機能を実装できたので、このシリーズはこれで完結する。